陽だまりの隅で、君と
メンバー 27ノート 58
陽だまりはやわらかな金色を帯びて、草原のひとすじひとすじを透かしながら揺らしていた。ふたりの足元に影が落ち、それは淡くまだ交わらぬまま寄り添っている。 白い靴下に触れる風はあたたかくて少し切なくて、胸の奥でゆっくりほどけていく言葉をまた飲み込ませた。 草花の香りと夏の匂いとあなたの笑い声が混ざってこの世界にふたりだけ取り残されているようで息をするのも少し惜しくなる。 午後の陽は傾き靴音は短く、でも確かに響いて私たちを静かな約束の中へ連れて行く。 この瞬間はきっと日記にも写真にも残らない。頬に落ちた光のぬくもりも、重なりそうで重ならなかった影の距離も全部、私だけの宝物として胸にしまっておく。あなたに触れるその日まで、そっと。 緩真面目/イベント